【税理士が教える】孫への生前贈与で失敗しないためのポイントと、知っておきたい節税メリット

お孫様へ残してあげたいお気持ち

souzoku

こんにちは。税理士の神田です。

「大切な孫の将来のために、お金を残してあげたい」
「教育資金や結婚資金の足しにしてほしい」

そんな想いから、お孫様への生前贈与を検討される方はとても多くいらっしゃいます。
とても素晴らしいお気持ちであって、みなさん同じように考えるのではないでしょうか?
また、相続となって、お金を渡すよりも、生前にお金を渡した方が、
お子様やお孫様は喜ぶのではないでしょうか?
実は、子世代ではなく「孫世代」への贈与には、相続税対策として非常に高い効果があります。

しかし、良かれと思って進めた贈与が、やり方を一歩間違えると
「税務署から贈与と認められない」「後から重い税金がかかってしまう」というトラブルに繋がることも……。

今回は、お孫様への贈与が有利な理由と、失敗しないための大切な注意点を解説します。

なぜ「孫への贈与」は相続税対策に効果的なのか?

最大の理由は、「相続税の課税を1回パス(世代飛ばし)できる」という点です。

通常、財産は「親から子(1回目)」、そして「子から孫(2回目)」へと引き継がれるたびに、
それぞれのタイミングで相続税がかかる可能性があります。

しかし、祖父母からお孫様へ直接贈与をすれば、子世代の相続を飛ばして一気に財産を移せるため、
一族全体の税金負担を大きく抑えることができます。

さらに、大きなメリットがもう一つあります。

最近の法改正でも「孫」は有利!
税制改正により、亡くなる前7年間※改正後※にされた贈与は、
相続財産に足し戻して相続税を計算するルール(生前贈与加算)に変わりました。

しかし、原則として相続人ではないお孫様への贈与は、この「7年加算」の対象外となります。

この点だけ見れば有利ですが・・・

【要注意】保険契約名義変更「名義変更(負担者は祖父、新契約者は孫)」ケース

原則的な課税関係:相続税(保険契約に関する権利)

保険の名義(契約者)を孫に変えても、祖父が亡くなった時点で「実際に保険料を負担していた人」が祖父である場合、その保険は死亡保険金ではなく、「保険契約に関する権利(亡くなった日時点の解約返戻金相当額)」として、相続税の課税対象(遺贈扱い)となります。

課税の種類: 相続税

孫への影響:

非課税枠の適用外: 生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)は、死亡保険金を受け取った「法定相続人」だけが使えるルールです。孫が引き継ぐのは「保険の権利」であり、そもそも孫は相続人ではないため、非課税枠は1円も使えず、解約返戻金相当額の全額がそのまま相続税の対象になります。

2割加算: 孫が引き継いだ保険の権利に対する相続税額は、20%加算(2割加算)されて重くなります。

  1. 生前贈与加算(持ち戻し)への影響
    これが前述の「持ち戻し」のトリガーになります。

孫がこの「保険契約に関する権利」を遺贈によって取得した扱いになるため、孫は正式に「遺産を受け取った人」になってしまいます。
その結果、保険とは別に、祖父から過去7年以内に受け取っていた「現金贈与」があれば、それらもすべて相続財産に足し戻し(生前贈与加算)して相続税を計算しなければならなくなるという、大きなデメリットが発生します。

  1. もし「贈与税・所得税」の形にしたい場合
    このケースで、祖父が亡くなったときの相続税(および過去7年の持ち戻し)を完全に回避したい場合は、「孫が自分の財産から保険料を支払っている」という実態が必要です。

対策例(生前贈与プラン):
契約者を最初から「孫」、被保険者を「孫」、受取人を「孫」にします。
そして、祖父から孫へ毎年「現金」を贈与し、孫がそのお金を自分の口座に入れて、そこから保険料を支払います。

ポイント:
単に口座名義を孫に変えただけや、おじい様が孫の口座に直接保険料を振り込んでいるだけでは、税務署から「実質的な負担者は祖父である」とみなされ、上記1・2の通り、祖父死亡時に相続税(+7年持ち戻し)の対象となります。正しく現金の贈与契約を毎年来たした上で、孫自身の手で保険料を払う実績を作ることが不可欠です。

【まとめ】:温かい想いを、正しい手続きで確実な形に

「年間110万円の基礎控除」の範囲内で行う暦年贈与のほかにも、
まとまった資金を動かせる相続時精算課税制度や教育資金の一括贈与の特例など、お孫様への支援には様々な選択肢があります。

お孫様への贈与はメリットが大きい反面、家族間の距離が近いからこそ、税務法務上の手続きが曖昧になりがちです。
せっかくの温かい想いが将来の負担になってしまわないよう、一度プロの視点でシミュレーションしてみませんか?

当事務所では、お客様のご家族構成や財産状況に合わせた、最適な生前贈与プランをご提案しております。
「うちの場合はどう進めるのがベスト?」と思われたら、どうぞお気軽にご相談ください。